ローコスト住宅メーカーならではのエピソード
結局、「高気密、高断熱」といっても、体感だとなかなか証明しづらいため、どこの住宅メーカーも計測器で測定し、「C値、Q値、UA値」として数値で競い合っているというわけである。ちなみに私の在籍していた住宅メーカーの断熱材は「高性能グラスウール」。要はいちばん安価なグラスウール。断熱性能にこだわるお客さまに、こんなことをいわれたことがある。
「○○ホームさん、断熱材の標準仕様がグラスウールですよね? グラスウールだと湿気に弱いでしょ? それが心配なんですよねー」と。もうこれはお客さまのいうとおりで、それをいわれたらぐうの音も出ない。そこで返した私の答えが、反論にもならない苦しまぎれの回答である。「いやっ、お客さま、昔のグラスウールとは違いますから。うちのは“高性能グラスウール”ですから」と。
「高性能グラスウール」なんて、商品名のようなもので、グラスウールはグラスウール。
「高気密、高断熱」を売りにしている住宅メーカーからすれば、いちばんバカにされやすい代物でもある。だから特徴や強みのないローコスト住宅メーカーは、「他社と何も変わりません。この仕様でこの金額なら悪くない」といったスタンスの営業になるのである。
気密性に関しても、ローコスト住宅メーカーならではのエピソードがある。住宅営業マンは毎朝、お客さまが来場する前のモデルハウスの清掃が最初の仕事であり、「夢の空間」に磨きをかけている。ただ立地の影響もあってだとは思うが、モデルハウスに入ると、床に毎朝、数十匹の不快害虫「ヤスデ」の死骸が転がっているのだ。
どこから入ってくるのか謎なのだが、これが毎朝である。また、真っ白い床なので黒いヤスデの死骸が異常に目立つのだ。高気密住宅が聞いてあきれるこの「ヤスデ祭り」……そして住宅営業マンたちは、お客さまにこの「低気密」がバレる前に、毎朝せっせと害虫の後始末をするのである。