カラオケ大会でみんなが大笑いした長嶋の「野球小僧」

 プロ野球選手から野球解説者に転身していた佐々木信也が記憶を辿る。

「V9時代に突入していた頃、川上監督に『今の巨人には欠点が見当たらないですね』と聞いたら、『サインを覚えようとせんのが1人おる』と笑っていた」

川上哲治氏(1920~2013)©文藝春秋

 長嶋のことだった。柴田がこんな秘話を明かす。

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「V3くらいの時、宮崎キャンプの打ち上げで、川上監督が前シーズンに選手から徴収した罰金をカラオケ大会の賞金として配ることにした。サインの見落としなどの罰金が30万円ほどになっていて。ほとんどは長嶋さんでしたがね」

 長嶋が披露したのは、1951年のヒット曲、灰田勝彦の「野球小僧」だ。

「野球帽を斜めに被った長嶋さんが、宴会場の襖をそっと開け、キョロキョロと周りを見まわしながら入ってきて、ゼスチャーを交えて歌い出した。おかしくてみんな大笑いして。賞金は文句なしで長嶋さんがかっさらった。というか取り返した(笑)」(同前)

 だが、宴の後、柴田は長嶋の本当の凄みを思い知る。

自宅の庭で3人の子供たちと ©文藝春秋

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