体調が悪いわけでも精神的に落ち込んでいるわけでもない。どうしようかと思いあぐね、こっそり養毛剤を購入したりシャンプーを少し高価なものに格上げしたりしましたが、さして効果が出ている気配はない。
そこで、決心しました。それまで肩の上ほどまで伸ばしていたボブスタイルの髪型をやめて、短く切ることにしたのです。そうすれば、髪への負担が軽減されて、抜け毛も減るのではないかと考えました。
はたして効果があったのかどうか。気分的な問題でしょうか。シャンプーをして、長い抜け毛を集めるときよりは、短いほうが多少ショックは小さくなりました。
「こんな頭じゃ、テレビに出られない」
あの頃は、よく怖い夢を見ました。テレビのスタジオに行くと、「ちょっとアガワさん、どうしたの、その髪の毛は!」とスタッフに呼び止められて鏡を見ると、なんと私の頭の毛がスッカスカになっている。
ああ、こんな頭じゃ、テレビに出られない。どうしよう。恥ずかしい。目覚めたあとも悪夢の余韻が残って気分の優れなかったことが何度もありました。
「白髪が急激に増えて、嫌になっちゃう」
そんなとき、中学高校時代の女友だちの集まりに行きました。40代近くの女どもが集まると、昔話に花が咲いて笑い転げながらも、仕事の悩みや家庭内の問題や、身体の話題もさまざま出てきます。
「最近、白髪が急激に増えて、嫌になっちゃう」
そう嘆く友がいたので私が、
「あら、白髪なんか染めれば済むことじゃない。私は髪の毛がどんどん抜けて、このままじゃ禿げちゃうんじゃないかと思うと怖くて怖くて」
すると白髪で悩んでいた友だちが、
「あら、禿げたらカツラかぶればいいだけでしょ。簡単よ」
互いに相手の悩みの解決法をさらりと言ってのけて、笑い合いました。
自分の不幸がいちばん深刻と思うのは大間違い。
それぞれに悩みは抱えているけれど、視点を変えれば大した問題ではないことがわかります。本当に落ち込んで苦しんでいるときは心から慰めてくれるけれど、たいした悩みでないときは、見事にズケズケとモノを言ってくれる。私はそういう友だちに恵まれています。