え、そこまで経費になるの……? 本当にあった「驚きのエピソード」

——夜野さん自身、ホスト時代は年間3億円を稼いでいた時期もあったそうですね。自身の経費はどのように申告していたのでしょうか。

夜野 年間の売上が3億円だと、給料として入ってくるのは約1億5000万円ほどになり、その半分ほどは経費として申請していましたね。

 僕の場合であれば、本職の税理士の取引先である社長さんたちもお店に通ってくれたので、そのお礼としての接待費もかさみました。六本木のキャバクラで接待したら、1日で100万~200万円程度になることもザラにありましたから。あとはプレゼント代や飲食代、ホストとして着飾るため全身ハイブランドで揃えたりすると、経費もあっという間に膨らみました。

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多額を稼いでも、その分経費へと消えていくのがナイトワーカーたちの世界だ。夜野さん自身、数千万円を経費として計上していたという ©石川啓次/文藝春秋

——実際に、夜野さんが担当された事例で、珍しい経費の相談について教えてください。

夜野 一例を挙げると、六本木のキャバ嬢が、いわゆる“太客”に2000万円を貸して、600万円しか返済されなかったという相談がありました。

 聞けば、お客さんが新規事業を立ち上げる際にキャッシュが必要で、新しいビジネスが軌道に乗れば、もっと売上に貢献できるという話でした。要は、キャバ嬢がお客さんに投資したものの失敗して、全額返済されなかったわけですね。

 通常、このようなケースを、損失として計上するのはかなり難しいです。ただ、彼女とお客さんとのLINEから、詳細な金額のやり取りや、明確な投資の意思があったことに加え、相手も自己破産した法的事実が揃っていた。結果的に、彼女の元に戻ってこなかった1400万円は「貸倒損失」として経費に計上できました。

自らホストとして活動していたこともあり、ナイトワーカーたちから絶大な支持を得ている夜野さん。手にしているのは、ホスト時代にナンバーワンとなり表彰された際のトロフィーと賞状だ ©石川啓次/文藝春秋

なぜ「キャバクラはOK」で「風俗はNGなのか」

——そんなケースも経費になるんですね……。

夜野 先ほどお話ししたように、経費が認められるかどうかは「収入を得るために必要だったかどうか」に尽きます。そこに合理性や、客観的な証拠があるかどうかを考慮して、税務調査官が判断していくわけですね。

 最近だと、東京大学の元教授が、民間団体の代表理事から都内の高級クラブやソープランドで接待を受けていた汚職事件が話題になりました。本件の場合、国立大学の教授は公的な扱いに近いため、そもそも接待を受けること自体が問題ですし、民間団体の代表理事も有罪判決が下りました。

 ただ、キャバクラやガールズバーは接待費で落ちるのに、なぜ風俗は通らないのか——。ふと疑問に感じて調べてみたんです。

——確かに、気になります。