一方で気になるのは高市首相のコミュニケーションの取り方だ。首相もSNS発信には熱心である。しかし質問を受けることには積極的なのだろうかと思えてしまう事実や状況がある。
首相の中傷動画問題については今のところ沈黙
5月25日、首相は補正予算案について官邸で説明した。ところが形式は記者会見ではなく「ぶら下がり取材」だった。しかも事前に首相側は公務が多忙なことを理由に質問を代表1社に限定する意向を伝えていたという。
国会で高市首相は、SNSや記者会見などをどう組み合わせるかについて「試行錯誤しながら見いだして参りたい」と答弁した。
どうにも不思議だ。記者の質問を受けるかどうかまで試行錯誤する話なのだろうか。
そう思っていたら4日の予算委では、週刊文春が公開した音声について確認を求められた際、「有料オンライン会員になろうとは思わなかったので確認できなかった」と答弁した。
自民党内からも「忙しくて音声を確認していないというのはまずい。権力者の振る舞いとして極めて不健全だ」という声が上がった(朝日新聞6月5日)。
だとすると気になる。こういう説明をする人は、他の場面でも同じ説明をしていないだろうか。
さて、「内閣広報官(色々投稿試し中)」アカウントだが、あれだけ饒舌だと逆に何について触れていないかもよくわかる。
アカウントは報道内容について反論することもある。首相に関するSNS上の情報にも素早く反応する。だが、首相の中傷動画問題については今のところ沈黙を続けている。
もちろん、全ての報道にコメントする義務はない。ただ、最近の文春報道はかなり具体的だ。高市首相が「面識がない」と説明してきた人物と秘書側のやり取り、ショートメール、さらにはZoom会議の音声まで公開されている。
もしアカウントの役割が「正確な情報発信」なのであれば、この件をどう扱うのかは興味深い。何を発信するかだけでなく、何を発信しないか。そこにも広報の意思は表れるからだ。「正解」「不正解」を教えてくれる佐伯耕三氏のアカウントだけに、この件もぜひ採点してほしい。
