都会の中のタイムカプセル

リム 撮影場所である社子島という独特な場所があったからこそ、この作品が成立したのですね。

リム・カーワイ監督 ©台湾映画上映会2026

チュウ この社子島という場所は、台北の中心部から比較的近いところにあります。淡水河と基隆河という二つの大きな川がちょうど交わるところに位置していますが、今から50年ほど前に大きな台風がこの地を襲い、その被害をきっかけに政府はこの場所のあらたな開発を禁止しました。そのため、50年から60年前の姿が、まるでタイムカプセルのように残されることになりました。

 初めてそこに足を踏み入れたとき、まるで自分がどこかを漂流しているような、宙に漂っているような不思議な感覚を強く受けました。この場所そのものが川の水によってもたらされた土地であり、ここに生きる人々もまた、水によってこの場所にやってきた人たちであり、自分たちの将来もまた、いつかは水と共にすべてなくなってしまうのではないかという予感を抱えているのです。先行きが不明瞭のまま、彷徨っている感じがある土地なんですね。

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チュウ・ジュンタン監督 ©文藝春秋

リム 主人公の男性が働いている巨大なゴミ処理場はすごくSF的というか、ディストピアのような印象を受けました。非常に面白いロケーションですね。

チュウ あのゴミ処理場は、実際に社子島の中に実在しています。主人公の男性は、自分自身のことをまるで「ゴミ」のようだと感じながら日々を生きています。自分の中に何があっても実現することができず、自分の力で将来を変えることもできない。そんな非常に強い閉塞感に満ちた状態を生きている主人公だからこそ、ゴミの山に囲まれたリサイクルの場所で仕事をしているという設定が、彼の内面を表現する上で大きな意味を持っています。