彼の名前は…

「僕です。長原幸太です」

 そう、彼こそ、五嶋みどりレクチャーコンサートで奨励賞を獲得したあの男の子だったのです。聞くと、彼は広島を出て、東京藝術大学音楽学部附属音楽高校に入学したと言う。

「あら、東京にいるの? じゃ、お腹すいたら連絡して。ご馳走してあげるから」

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 これが長原幸太との友情の始まりでした。

 その後の経緯を書いているとたいへんな分量になるので割愛しますが、彼は藝大を卒業し、ジュリアード音楽院に留学したのち、ソリストとして多くの名指揮者と共演、いくつかのオーケストラでコンサートマスターを務め、今はNHK交響楽団のコンサートマスターとなり、去年(二〇二五年)、私の『週刊文春』の対談にもゲストとして出ていただきました。

 もはや立派なオジサンです。あんなに可愛かったのにね。

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 数えてみると、初めて会った日から三十年以上のお付き合いになります。私にとって、最初の最年少の男友だちです。ここまで若い頃から友だちとして知っていると、彼の頑張ってきた人生をささやかながら一緒に歩んできたような気持になり(図々しいか)、会うたびにその成長ぶりに圧倒されて、涙が溢れそうになります。

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