「万人受けする味」がかえってリスクに?

 都心部への出店攻勢を強める場合、魁力屋の強みでもある「平均的な味」も課題になる。

 同社の背脂醤油スープは、豚骨・みそ・鶏白湯といったものよりも万人に受け入れられやすいが、反対に言えば大きな特徴がない。例えば伍福軒新宿西口店があった辺りには魚介類の濃厚スープが特徴の創始 麺屋武蔵、白菜・豚肉の旨味が出たスープ+たまご麺の神座に加え、濃厚豚骨の横浜家系や、もともとMPキッチンの“親分”でもあった天下一品などがひしめき合い、この中で選択されなければいけない。

都心部への出店では、尖った特徴も求められる(筆者撮影)

 いずれも他のチェーンにはまずない「オンリーワンの一杯」を持つ店舗ばかりで、無難な味とも言える魁力屋が戦うには強敵ぞろいだ。

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 こうした現状の課題について魁力屋に問い合わせたところ「魁力屋はロードサイドとフードコート店舗への出店がメインだが、四条烏丸や渋谷宮益坂など、数は多くないものの都心部での実績もあるため心配していない」と強気の返答があった。

ロードサイドで勃発「京都ラーメン戦争」

 業績が絶好調の魁力屋だが、都市部への出店以外にも課題はある。まず、創業の地・関西における郊外ロードサイドでの競争が、意外と激しい。

 魁力屋が関西で約50店舗を展開しているのに対して、おなじ京都背脂醤油の「来来亭」は、おなじ関西で既に70店以上。後者は完全に郊外に振り切った出店戦略を立てており、主要なバイパス・幹線道路の好立地をことごとく抑えつつある。

来来亭の黄色い看板はよく目立つ(筆者撮影)
来来亭のラーメン+キムチチャーハンセット(店舗限定、筆者撮影)

 1972年創業の古豪「ラーメン横綱」も、近畿圏だけで50店近くを出店する郊外型ラーメン店だ。京都市内の醤油系とは一線を画する豚骨醤油スープと「ニントン(にんにく・唐辛子を和えたもの)入れ放題」というオリジナリティ溢れる店づくりで、人によっては「週に1回はラーメン横綱でニントンをぶっかけないと、禁断症状が出る」というほど、ジャンキーな性質を持つ一杯が特徴のチェーンである。

 ここに加え、近畿圏で80店以上も展開している天下一品もあるわけで、各チェーンが関東圏、そして全国の郊外立地に進出し始めている。もはや全国のロードサイドで「日本京都化計画」が進行しているような状況だ。

 ここまで触れた京都系のチェーンの多くは、背脂やニンニク入れ放題などで「ギルティ」を訴求しており、魁力屋とはいわば“キャラかぶり”な存在だ。魁力屋の成長を支えてきた郊外・ロードサイド立地が過当競争に転じれば、従来のような急成長が息切れする可能性も出てくる。