今の自分は本当の自分じゃない
最初はたまたま、テレビのリポーターのアルバイトをしないかと言われて、軽い気持ちで引き受けたんです。そうしたら2年後に同じプロデューサーから、別の番組にレギュラー出演しないかと誘っていただき、それが『情報デスクToday』でした。
「期間は最低6か月ですが、よほど不評だったら3か月です」
そう言われて、じゃあ私は3か月でクビだろうと思っていたら、意外と長く続いちゃった。番組がきっかけで、雑誌でのインタビュー企画、「婦人画報」や「週刊文春」でのエッセイ連載などを始めることになり、いつの間にかある程度の仕事を抱える人間になっていました。
だけど、作家・阿川弘之の娘だってことで依頼をくださっているのが分かるから、やっていても全く自信がない。すべてが中途半端だと悩む日々でした。今の自分は本当の自分じゃない、結婚するまでの仮の姿だと思っていたのです。
インタビューは下手だというレッテルを貼られた
特に、報道の仕事は本当に向いていないと感じました。
当時は報道というものが、なにか持て囃されていた時代だったのです。華やかで優秀な女性キャスターが次々と出てきているなかで、私はと言えば、無能な頷き役から始まりました。現場の取材をしたこともないし、新聞も読まないので教養がない。番組で「アゼルバイジャンで紛争が……」と書いてある原稿を(アゼルバイジャンってどこにあるんだ?)と思いながら読んでいましたから。弟には「詐欺だよね」「何も分かってないじゃん、姉ちゃん」と言われて、「本当だよね」と。偽りのニュースキャスターをやっていましたね。
インタビューや取材を任されるのも辛かった。聞きたいことなんてないし、何を聞いたらいいのかも分からなかったんですよ。大学教授に話を聞きに行っても、「それはどういうことですか?」と突っ込むと、スタッフから「関係ないところをほじくるな」。そうかと思えば逆に「なんでそこで話を終わらせるんだ」と言われたり。番組にとって必要な情報、不要な情報の塩梅が全然分からないのです。ボコボコに怒られてばかりで、インタビューは下手だというレッテルを貼られました。
