全女から「あいつらは何をやっているんだ」という不満の声も…
――そんな経緯もあって、FMWでは念願のヒールとして試合をするわけですよね。
工藤 ただブーイングを浴びていただけなので、目指していたヒールではなく、「なってしまったヒール」というか。むしろ「なんでブーイングを受けているの?」という感覚でした。
一方で、「やっぱりプロレスは楽しい」という気持ちになって。どんなにプライベートで楽しいことがあっても、リングの上はそれを超える興奮があるんです。
――FMWのリングに上がるにあたって、全女に報告したんですか?
工藤 いまの時代は必要だと思うんですけど、そのときは報告しなかったです。礼儀を欠いていたと思います。まだ子どもで、筋を通すという感覚がありませんでした。そもそも在籍期間が短くて「私のことなんて覚えてないだろう」と思っていたんです。
――全女側からクレームもなく。
工藤 なかったです。ただ、マスコミを通じて「あいつらは何をやっているんだ」という不満の声があがっている、と聞きました。全女のみなさんには、私たちのことなんて目に留まらないと思っていたんです。
「大仁田と並ぶ2枚看板になれるように頑張ってほしい」
――FMWは男女混合団体ならではの難しさがあったと思います。
工藤 私たちが入るまでは男子レスラーが女子のコーチをしていたので、相手の投げ方、ロープの掴み方、ひとつひとつの動きが違ったんです。下の世代は誰の言うことを聞けばいいのか戸惑ったと思います。
――FMWは大仁田厚さんなど男子の試合がメインでした。
工藤 メインで女子の試合をすることを目標に掲げていましたが、メインで大仁田さんが登場すると声援がすごいし、試合も盛り上がるんです。大仁田さんが興行を締める光景を見ていると、「私たちでは敵わない」と実感して。「それでもいつか変えたい」と思ってました。
