――子どもがいない人生の選択肢として「養子縁組」が話題に上ることもありますが、そこへ至る道のりも決して平坦ではないと伺いました。
くどう おっしゃる通りです。「子どもがいないなら、養子を迎えればいいのに」と簡単に言う人もいますが、現実はそう単純ではありません。
自分が養子縁組を望んでも夫や家族との考え方に違いがあったり、養子縁組に向けて研修を受けるなど準備を進めたものの、最終的に審査に通らず落ち込む方もいます。
40代を過ぎて不妊治療をやめた後、すぐに養子縁組へ気持ちを切り替えるのは精神的にも簡単なことではありません。
ようやく心の整理がつき、決意した時には、あっせん団体の定める年齢制限を超えてしまっていたというケースもあります。決して、望めば誰もが叶うものではないのです。
子どもを持たないことに対する将来の不安
――子どものいない女性は「寂しい老後」というイメージを持たれがちです。「マダネ プロジェクト」の集まりでは、60代の当事者女性からお話を聞く機会もあるそうですね。
くどう 確かに、周囲が子育てに追われている真っ最中の時期は寂しさを感じることもあったそうです。当時はロールモデルになるような情報もなかったので、将来への不安もあったと言います。
でも60代を迎える頃になると、周りの人たちも子育てが一段落します。すると学生時代の友人との縁が復活したり、自身の中でも子どもがいないことへの気持ちに一区切りがついたりして、結果的に「今が一番楽しい!」と生き生き過ごされている方も多いんです。
実際、60歳以上の女性を対象にした「孤独」に関する調査結果を見ると、老後の寂しさは子どもの有無だけで決まるものではないことがわかっています。それよりも、配偶者の有無や、近所にちょっとした世間話ができる友人・知人がいるか。あるいは健康状態や外出の頻度といった要素のほうが、孤独感に大きく影響するとされています。
女性は自ら友人を作ったり外へ出てコミュニケーションを取ったりする方が多い一方で、男性は定年退職などを機に、孤独感が深まりやすい傾向があるとも言われています。
子どもがいない人は「いざという時に頼れる子どもがいない」と早くから意識している方も多く、病気やお金といった老後のリスクに対して、早めに準備を始める傾向があります。マダネの場でも、国や地域の福祉制度についての活発な情報交換が行われています。
