──体育の授業はどうしていたんですか?

さしみちゃん 当時はまだアスレチックに登ったりもできてて、車椅子も使ってなかったので普通に参加してました。運動会のリレーメンバーにも入ってて、クラスも「走るの速い子ががんばってカバーしよう」って空気だったので、内心では「ごめんね」って思いましたけど、そこまで引け目を感じることはなかったです。むしろ運動会での保護者の反応がいやでしたね。

──何があったんでしょう。

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さしみちゃん 走れるとは言ってもどうしてもダントツのビリになっちゃうんです。他の子が先にゴールして私だけが走ってる状態になっちゃって、やっとゴールが見えてきたら「がんばって!」って声が聞こえて。それで顔を上げたら知らないお母さんたちが泣きながら応援してるんですよ。

 クラスの子にとっては私が遅いのは日常の風景だし、私自身も「だるいなー」って走ってるけど、大人からしたら「障害のある子が最後まで諦めずに頑張ってる」に見えたんでしょうね。それは子どもながらに気持ち悪さを感じました。

アパートの階段から滑り落ち「足がふにゃっとなって、なぜか立てない」

──車椅子などを使い始めたのは何歳頃からだったんですか?

さしみちゃん 小4のときの事故がきっかけですね。うちの両親はやんちゃだったので、物を投げたり手が出る激しめの喧嘩は日常でした。でも子どもからしたら狭い部屋で両親が殴り合いをしてるのって怖いので、その日も友達のいる公園に逃げようと思って家から出たら、アパートの2階の階段を降りようとした瞬間につまずいて、そのまま下まで滑り落ちちゃったんです。

 

──大変です。

さしみちゃん 体を強く打った衝撃でしばらく動けず倒れてたらお母さんが気づいて、「何があったの!?」って慌てて駆け寄ってきました。とりあえず起こそうとしてくれたんですけど、足がふにゃっとなって、なぜか立てない。右手はめちゃくちゃ痛かったから骨が折れてるかもしれないと思ったんですけど、足は痛くもないからどうして動かないのかわからなくて、痛みより疑問が強くて変に冷静になってたのを覚えてます。

──それで病院へ?

さしみちゃん すぐに連れていかれたんですけど、足に力が入らない原因がわからなかったんです。親も「点状石灰化骨異形成症」のことを伝えたんですけど、そもそも前例がないし、それまで歩けてた人が突然歩けなくなるケースなんてもっとない。そこから「あの先生ならわかるかもしれない」という噂をたよりに全国各地の大学病院を回る生活が続きました。

 数カ月経ってやっと脊髄に詳しい先生に出会うことができて「軟骨のまま成長していた首の骨が転んだ衝撃で圧迫されて、下半身を司る部分にダメージを与えてしまった」ことがようやくわかったんです。