「もう9歳だから手術するかしないか自分で決めたほうがいい」

──治療法はあったんですか?

さしみちゃん その時わかってたのは、このまま放っておくと悪化してほぼ確実に下半身不随になって、最悪だと植物状態の可能性もあることだけでした。それで手術してくれる病院を探したんですけど、手術法も確立されてないのでなかなか引き受けてくれるお医者さんが見つかりませんでした。

 ようやく見つけた横浜の先生が手術してくれることになったんですけど、その先生にも「3割の確率で失敗して、もしかしたら全く歩けなくなるかもしれないし意識が戻らないかもしれない」と言われました。親も「もう9歳だから手術するかしないか自分で決めたほうがいい」という感じだったので1人で診察室に入って、先生に手術するか聞かれて。

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──9歳には難しすぎる決断だと思うのですが……。

さしみちゃん 9歳ってまだまだ子どもじゃないですか。当時の私も正直あまりピンときてなくて、でも「わかんないけど、やる」って言いました。診察室を出たら母親がギャン泣きしながら「どっち? 手術するの?」って聞いてきたので、そんなに大きなことだったんだって。

──手術自体はどんなものだったんでしょうか。

さしみちゃん 足の骨を首の軟骨だった部分に移植する手術でした。移植した部分がくっつくまでは重力がかかるとダメなので、頭を持ち上げる感じで胴体と頭の固定具をつけられました。1回の手術では終わらず補強とかで合計3回手術したので、1年半くらい入院してました。

──子どもの1年半は長いですよね。

さしみちゃん 入院してる時、クラスの子たちから寄せ書きが届いたことがあって、嬉しいはずなんですけど「早く元気になってね」って書かれてるのを見てみんなとの距離を感じちゃいました。この間まで当たり前に一緒に生活してたのに、「私って元気じゃない側の人なんだ」って突きつけられる感じがしたんですよね。

 

──小学校に戻ったのは6年生の頃?

さしみちゃん 復学したんですけど元々私がいたポジションには別の子がいるし、輪に戻れないというか1年半で自分の場所がなくなっちゃった感覚はありました。それに転んだら骨がずれちゃうから絶対に転べなくなって、体育も見学でレポートを書いて参加するだけ。その頃から車椅子を使い出して、人に押してもらったり助けてもらうことも増えました。