──さしみちゃん名義で家を借りてるのに。
さしみちゃん しかもバリアフリーの家を探すのって本当に大変で、30軒くらい回ってやっと見つけた物件だったんです。それに当時は親との衝突が激しい時期で、絶縁宣言をして出てきちゃってたので戻るわけにもいかない。なので彼のスマホを見た瞬間に頭が真っ白になって、どうしようってパニックになって震えが止まりませんでした。
──その後どうしたんですか。
さしみちゃん 翌日には私の荷物が届いてしまうので、今すぐどうするか決めなくちゃと思って話し合いを持ちかけました。でも彼は完全に開き直って「この子と付き合ってる俺と暮らすか、お前が出ていくかの二択だ」としか言わなくて。それで仕方ないので私が家を出ることにしました。不動産屋さんにも事情を伝えて違約金も払って、実家に頭を下げて戻りました。
別れるのに7年かかってしまった精神的な理由
──それで完全に別れたんですか。
さしみちゃん それが共依存状態だったので、半年後くらいにまたヨリを戻してしまってそれから2年くらい付き合ってたんです。その間も彼の浮気が怪しいことはたびたびあったんですけど、ズルズルしちゃってて……。でもあらためて「今度こそ一緒に住もう」って話になって、契約のために駅で待ち合わせしてたんですけど彼が来なくて、どうやらゲーム配信してたみたいでした。
――変わりませんね……。
さしみちゃん そのとき「なんでこんないい加減な人と付き合ってるんだろう」って急に冷静になったんです。私もデザイナーとして働きはじめて数年経ってて、自分の生活も安定してきた時期だったので「もう気持ちを揺さぶってくる男なんていらない」って思えて別れられました。
──ついに別れられたんですね。
さしみちゃん 7年かかりましたけどね。その後はマッチングアプリとかもやってみたんですけど、障害者ならではの難しさはやっぱり感じました。恋愛前提の出会いなのに、初対面の会話がどうしても「私はこういうことができないんです」っていうできないことの自己紹介になりがちで、その先に進みづらい感覚はあります。

