――これからどんどん前に出ていかないといけなくなる?

村田 このままいくと、知晴さんが出ていってくれはるので、いまの母のように「私は本店を守る」という心意気で、やっていけるかなと思ってます。

息子に跡を継いで欲しい気持ちは「ないです」

――あと、息子さんもいらっしゃいますしね。

ADVERTISEMENT

村田 そうですね。そこが一番大きいですね。

――跡を継いで欲しいお気持ちはありますか?

村田 ないです(力強く)。

――ない。

村田 ぜんぜんないです。

――自分が嫌だったから。

村田 妹はしなくていいのになんで私がっていう気持ちが、ずっとあったので。生まれた順番だけで。それから、「男の子じゃなかったから」という子どもながらの要らない負い目もあったんですね。「長男やったらもっと親がこうしてたんじゃなかろうか」という気持ちがずっとあったので、自分の子どもに対しては、好きなことしたらいいと思ってます。

©志水隆/文藝春秋

――息子さんは将来何になりたいとか、おっしゃっていますか?

村田 つい先日は、警察官になりたいって言ってました。その前は、漫画家になりたいって。

――おじいさまのお気持ちは?

村田 父と、知晴さんは、(息子に5代目に)なってほしい。知晴さんは自分でがんばってるし、これからもがんばるから、息子には継いでほしいと。

 私はここで育っているから、逆にないのかもしれないです。やっぱり嫌々やると逃げちゃうことがあると思うので、好きにしてから、戻ってきはったら一番いいかなと。好きにしはったまま好きに生きてはったら、まあ一番いいかなあ。ということを、いまは思っているんですけど、たぶんそれも変わるかな。自分が動けなくなってきたら、子どもにって思うこともあるのかもしれないですけれども。そんな感じです。

むらた・しほ/1982年、京都府京都市出身。1912年創業の料亭「菊乃井」の長女として生まれる。京都の大学を卒業後、「俵屋旅館」に1年間勤務。その後、実家の「菊乃井」に入社し、修行を経て若女将となる。2016年に結婚、2019年に長男を出産し、現在は子育て中。年に一度、京都産業大学にて「おもてなし文化論」の講師を担当している。

最初から記事を読む 京都の名料亭の若女将(43)が“20代から約10年”お見合いを続けた理由「あんたはわがままや」「両親も焦ってくるし、お見合いノイローゼみたいに…」

その他の写真はこちらよりぜひご覧ください。