そして、その後逮捕されたのは伊藤巡査と内縁関係にあった小学校教師の宇野富美子(同26歳)。いったいなぜ、女性教師が現職警察官を殺害するに至ったのか。そこには世間も同情を禁じ得ない深い事情があった。

2人の出会い

 富美子は1927年(昭和2年)、大阪の裕福な綿問屋の4人兄妹の長女として生まれた(兄1人、弟1人、妹1人)。母シカの愛情を受けて何不自由なく成長し、1944年に高等女学校を優秀な成績で卒業する。

 写真はイメージ ©getty

 時を同じくして米軍からの空襲が激しくなり、家は店を閉め、父の郷里の山形県米沢市へ疎開。空襲により家と財産を失ったものの、富美子は米沢で教員養成所に通う。

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 伊藤と出会うのは終戦翌年の1946年春。まさか、後に自分が殺めることになる相手とは想像もしなかった。

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「危ない所には絶対に行かないでね。もし警察官の名の下にそうした行動をとらねばならない時は、弱虫のようですけれど、巡査を辞めてください」

 これは加害者女性が被害者の男性に送った手紙の一部だ。ここまで愛した彼をなぜバラバラにしたのか──。

次の記事に続く 「夫を殺して、ホッとした」借金まみれ、酔って乱暴されただけじゃない⋯マジメな女性教師を「殺人犯」に変えた【夫の悪行】(昭和27年の事件)