「今すぐ買う」ボタンの威力

 ベゾスの確固たるリーダーシップと戦略のもと、アマゾンは新旧両方の競合他社を寄せ付けないよう次々と堀を築き、右肩上がりの成長を遂げていった。ダイナミック・プライシングと呼ばれる需給に応じて価格を動かす仕組みは、常に小売他社よりも低価格を提供しているように見えた。やがてアマゾンのデータは顧客が欲しいものを顧客が望む前に予測できるようになった。

「今すぐ買う」ボタンをクリックすれば、その情報が世界各地の倉庫に伝達され、倉庫内の技術により、商品をピッキングし、梱包し、発送ラベルを印刷する作業が効率的に進められていく。こうした堀によってアマゾンという城は守られ、難攻不落になっていった。

 実際、アマゾンの数ある本社ビルの一つがシアトルの丘の上に建っていて、もとは病院だったせいか、不吉な何かを予感させるような威圧的な佇まいを見せていた。かつてはいつでも会ってくれたCEOに会うのが難しくなったのも、本社があの建物に移転してからだった。

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 技術系の起業家と比べると、自己愛は同じくらい強くても、それほど深い自己不安を抱えていなかったベゾスは、勢いがつけば何の躊躇もなく、自分にとって不要な人との関係を断っていた。

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