元首相の岸田文雄氏と、商工中金代表取締役社長の関根正裕氏。開成高校野球部のチームメイトであったというふたりが、日本経済復活における中小企業の重要性について語り合った。

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共に銀行で融資業務を経験

 関根 今回の対談のテーマは「中小企業を救え」。政府系金融機関だった商工中金は、16年に危機対応融資の不正が発覚しましたが、昨年に民営化を果たし、真に中小企業専門の金融機関として新たなスタートラインに立ちました。中小企業は日本企業の99.7%を占めている。つまり、日本経済の成長の鍵は中小企業が握っていると言っても過言ではありません。

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 岸田にも政治家としていろいろ考えもあると思いますが、その前に我々の共通点を話しておくと、奇しくも、2人とも早稲田大学卒業後に銀行に入行し、中小企業への融資を経験している。

岸田文雄氏 Ⓒ文藝春秋

 岸田 関根は第一勧業銀行(現・みずほフィナンシャルグループ)。私は1982年から5年間、日本長期信用銀行(現・SBI新生銀行)にいました。

 関根 当時はどういう業務をしていたの?

 岸田 本店で外国為替の仕事に2年半従事したあと、高松に赴任して、融資係兼営業マンを2年半やった。長銀は四国で高松にしか支店を構えてなかったんだよね。四国4県全てを担当するから、四国中を回っていた。高速船で瀬戸内海の島々を巡ったりもしたなあ。

 関根 四国といえば海運業だね。

商工中金 Ⓒ時事通信社

 岸田 まさに私の担当は海運業界。この業界は特殊で、「一杯船主」と呼ばれる家族経営の会社がたくさんあった。お父さんが社長で、家族が役員をやっているような海運会社が一隻何十億の船を持っているわけ。そういう会社に融資するんだけど、「家族で船で夜逃げされたらどうしようもない」などと冗談を言っていた(笑)。ありがたいことに、実際に夜逃げされたことはなかったけどね。