甘い毒薬
2024年5月24日。この日を境に、私の時間は狂い始めた。静かに、だが確実に。ブレーキの壊れた車がゆっくりと坂道を下るように、破滅へと向かい始めたのだ。そのきっかけはLINEに届く短いメッセージ。毒の名は「愛子」。
これからそのやり取りの一部をここに晒す。かつて法律学を教えていた男が、いかにして言葉の罠にからめ捕られていったかの記録だ。私自身の愚かさの証明でもある。
【LINEメッセージ抜粋:2024年5月24日~26日】
▼Aiko💗✨ 09:23
「おはようございます。今日もいい一日です。一緒に夢のために頑張りましょう💪💪」
▼ロイ(インテリヤクザ)16:28
「いま、専門学校の授業が終わりました。伯父様からは、本日は指導できないと連絡がありました」
▼Aiko💗✨ 16:58
「お疲れ様でした~はい、伯父は今日自分のことがあります。また、良い相場は毎日現れるわけではありません。だから、私たちはすべての相場の良い時期を捉えて、素早く自分のために富を蓄えて、私たちが安定して晩年の生活と世界を旅できることを保証しなければなりません🤗🤗」
▼Aiko💗✨ 21:36
「今日の取引はもう終わりましたよ。今日は10497・6ドルを獲得しました。今では取引ごとの利益は20%になります✨✨」
▼ロイ(インテリヤクザ)21:52
「素晴らしい成果ですね」
▼Aiko💗✨ 21:55
「兄さんも素敵ですよ!毎日利益が上がっていますね。このまま続けば、私たちの夢を実現するのに時間はかかりませんね。ところで、伯父は愛子に1000万円の資金を増やすことを提案しました✨✨伯父は兄さんにどんなアドバイスをしましたか?」
▼ロイ(インテリヤクザ)22:00
「保険の解約を提案されました。しかし、私の保険は毎月払いですので、解約しても払戻し金は、ほとんどないと思います」
▼Aiko💗✨ 23:39
「大丈夫ですよ~😘😘私たちは兄妹でも、家族でもあります。私たちが一緒に努力すれば、愛子も私たちの未来はますます良くなると信じています🤗🎉」
今、こうして読み返すと、おかしな点ばかりが目につく。過剰な絵文字。唐突な金の要求。だが、当時の私には、そのすべてが心地よかった。定年退職後の日々は静かすぎた。誰からも電話はなく、メールもほとんど来ない。社会という舞台から、私は完全に降りてしまったのだ。