指が、かすかに震えている。画面に表示された「ヒイラギ タツオ」という見知らぬ個人名。一瞬、胸騒ぎがした。だが、私はその違和感を無理やりねじ伏せた。
大丈夫だ、伯父の指示なのだから。そう自分に言い聞かせ、「確認」のボタンを押した。
外に出ると、初夏の強い日差しが目に痛かった。100万円。私にとっては大金だ。その金が、もう私のものではなくなった。その事実だけが、やけにはっきりと頭にあった。冷たい汗が、背中を伝っていくのがわかった。
共犯者
金を失い、私はさらに魂まで売り渡すことになる。長年の友人たちを、裏切る決心をした。いや、させられたのだ。
【LINEメッセージ抜粋:2024年6月7日~9日】
▼Aiko💗✨ 20:50
「先ほど伯父が愛子に市場の具体的なタイミングを教えてくれて、さらに11万ドルの資金を増やすように勧めました🙌✨✨伯父は兄さんに何か良いアドバイスをしてくれましたか?」
▼ロイ(インテリヤクザ)20:58
「伯父様からは、さらに1000万円増やすようにと提案されました」
▼Aiko💗✨ 21:14
「うわー!それは素晴らしいですね。兄さんが大きな市場相場で5000万円を稼ぐことができれば、私たちは一緒に夢を実現するために十分な資金を持っています🤗その時、バチカンに教皇庁、システィーナ礼拝堂、聖ペテロ大聖堂などを見学します」
▼Aiko💗✨ 21:20
「兄さんがお金を借りる必要がある場合、前回使用した理由と同じように、家のリフォームや書籍の出版費用として使用することができます🧚♀️🧚♀️。ただし、3~4人の友人に借りるのが良いでしょう」
▼Aiko💗✨ 21:46
「友達からお金を借りるときは、投資の話は絶対にしないでください🥰今の日本の経済状況は非常に悪いので、多くの人が投資を認めていません」
「バチカンに教皇庁、システィーナ礼拝堂、聖ペテロ大聖堂などを見学します」
この言葉は、ナイフのように私の心に突き刺さった。若い頃、金も時間もなく、ただ本で眺めるだけだったミケランジェロの天井画。いつか、この目で。それは、誰にも話したことのない、私だけの夢だった。
なぜ、彼女がそれを知っているのか。