ヤンキーでもインバウンドでもない、新たな「勝ち筋」になるか
これまでドンキが総合スーパーを再生させつつ店舗網を広げられてきたのには、いくつかの理由がある。1つは、先ほど触れた2階以上の非食品フロアを、圧縮陳列を軸とした魔境的な売場作りで魅力的にしたことが挙げられる。
その他、グループの調達力で食品売場の安さを維持・強化したこと。さらに、基本的には居抜き出店だったため、運営コストを引き下げられたことも大きい。この勝ち筋を見出し、多くの総合スーパー店舗をMEGAドン・キホーテやドンキ+スーパーへと転換して成長を維持することが出来たのである。
しかし、残念ながら、総合スーパーのM&A、居抜きでの出店は、今後あまり期待できない。西友がトライアルホールディングスに買収され、イトーヨーカ堂の再建が一旦終わったことで、もう大きなタマがなくなった。
それこそ、三大都市圏ではPPIHが最近買ったオリンピックが事実上最後の案件かもしれない。総合スーパー店舗をドンキ化することで成長するという勝ちパターンはもう使えなくなりつつあるのである。
ドンキには成長要因として、インバウンド売上日本一という顔があり、実はあの三越伊勢丹よりもインバウンド売上が大きい。また、百貨店とは違って「ドンキ」という固有名詞がインバウンド客全体のデスティネーションにもなっているため、中国人客への依存度も低い。
ただ、インバウンド訪日客の動向はあくまでも水物であり、この拡大に強く依存した中長期的成長では、ステークホルダーの支持は得られない。あくまでも、自律的な成長余地を明確にすることが、PPIHの企業価値を左右することになる。
ヤンキーを含む「魔境」が射程に入れてきた市場の飽和、M&A対象の枯渇、アンコントローラブルなインバウンド需要——こうした要素を踏まえれば、新たな成長エンジンが必要になるのは明白だ。そこで、総合スーパー以外の新たな国内M&A手法を開拓せねばならない、という流れからロビン・フッドが生まれたのだろう。
続く記事では、ロビン・フッドが「非食品」に注力している理由やスーパー業界の今後について、解説していきます。ダイエーやイトーヨーカドーが凋落するきっかけとなったともいえる非食品に、なぜ店内の4割もスペースを割いているのでしょうか?
記事内で紹介できなかった写真が多数ございます。こちらよりぜひご覧ください。