ディズニー、旅行、オペラ…プライベートでもずっと一緒に

 プライベートでも、ずっと一緒だった。

 ママは脚本を担当したドラマは必ずリアルタイムで視聴して、放送中に電話がかかってくると「誰だ! 私のドラマを見てないやつは」と怒るのよ。

 でも、ちゃめっけたっぷりの人でね。かなり昔のある日、高級中華料理店で酢豚を食べようと誘われて行った。帰宅してニュースをつけたら、ママが出席するはずだった大事な会見があったみたいで、アナウンサーが「橋田壽賀子さんはお仕事のため欠席でした」と話してるのよ。電話で問い詰めると「まあ、いいじゃない」と、どこ吹く風。

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泉ピン子 ©文藝春秋

「ミーハーじゃないと本なんか書けないわ」とも言っていて、3大テノールが来ると聞いて、ふたりして高いチケットを取ったものの、オペラなんか見たことがないからそろって居眠り。終演後にイタリア料理を食べに行って「こういうのは、参加することに意義があるのよ」と。

 私が東京ディズニーシーのオープニングに招待されて前日の夜に誘ったら、「今、『鬼』の最終回の本を書いているから無理だ」と断ったのに、翌朝、「やっぱり行く。新幹線に乗る。東京駅で待ち合わせよう。ディズニーシーのオープニングが見られないのは悔しいから徹夜で書き上げたのよ」と連絡があった。

 私が還暦を迎えたときには、「どうせ税金で持っていかれるから、あんたの好きな人を集めなさい」と盛大なパーティーを開いて費用を全額負担してくれた。終わったら、「350万円もかかったのよ」と文句を言われたけどね(笑)。

世界中で知られていた『おしん』

 とにかく行動力がすごい人なのよね。

 ママに誘われて、世界中もあちこち旅した。

『おしん』は世界中で放送されているから、ジャマイカでもベトナムでも北極の船の中でも、「おしんマザー!」と声をかけられた。ドレッドヘアのお兄ちゃんから「マザー!」って叫ばれた時は笑っちゃったわ。

 ママは隣で、「いいわねぇ、あんたは出てるから。こっちは書いてるのに、誰も気づかない」と、ちょっと拗ねた顔をしていた。

(左から)泉ピン子、橋田壽賀子

 エジプトにも一緒に行った。大規模なテロがあった後で、少しは落ち着きはじめていた時期だったけど、TBSからは「危険だから行かないでほしい」と言われたの。でもママは「何言ってるのよ。今行けなかったら、二度目なんてないのよ」と言い返したわ。

 もちろん、エジプトでも『おしん』はみんな知っていて、ママの知り合いにエジプトの国営放送の職員がいたから、現地の有名な番組にそろって出た。私、軽い気持ちの旅行だったから、きちんとした靴も履いていなかったんだけどね。