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「おいっ、福永、明日までにこれをやっておけよ!」「おまえ、こんなこともできねーのか!」
“上”にはおぼえめでたい飛松氏は、“下”にはいっさいの寛容さがなかった。
押し付けるだけ押し付けて、指導するという姿勢もない。仮面の下の顔に私はうんざりしていた。
愛人との“ヨーロッパ不倫旅行”
ある年、サッカーワールドカップにおけるテレビ放映の広告枠を、飛松氏が担当していた電機メーカーに販売することに成功した。
当時、テレビ局各社は、この手のビッグなスポーツイベントの広告枠セールスに成功した広告代理店の営業社員に、インセンティブとして、その試合の観戦旅行をプレゼントするという企画を多用していた。4年に一度のプレミアムイベントは、テレビ放送枠の広告提供料金も文字どおりプレミアな高さなのであった。
飛松氏にも、セールス成功の報酬として、テレビ局から往復の旅費と宿泊費がついた“ヨーロッパ出張”がプレゼントされた。日程は1週間、その間にやることといえば、現地でワールドカップの試合を観戦するだけ。事実上の観光旅行だった。上司たちも“仕事のできる”飛松氏に優しい。
「よく売ったぞ。おまえの手柄なんだから、胸張ってむこうで試合観てこい」