思い出の一部になれたら…

ーーこれまでを振り返ってみて、ご自身にとって大きな転機になった出来事は何だったと思いますか。

関森 祖父が亡くなった時に、初めて命の重みや、人とのつながりの大切さを強く感じました。それをきっかけに、周りの方々への感謝の気持ちを以前より意識するようになったんです。

 浅草には女性の店主さんも多くいらっしゃるのですが、仕事で落ち込んだ時にお店へ立ち寄ることもあります。夜遅くまで笑顔で接客されている姿を見ると、「自分の悩みはまだまだ小さいな」と思えるんです。本当にたくさんの方に支えられながら、今の自分があるのだと感じています。

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人力車夫の仕事中の関森さん 本人提供

ーーそうした人とのつながりを大切にされている関森さんですが、その思いは人力車とラジオ、二つのお仕事にも共通しているのでしょうか。

関森 人力車とラジオは、一見するとまったく違う仕事に見えるかもしれません。でも、私の中ではとても似ている部分があるんです。人力車に乗ってくださった方がラジオを聴いてくださったり、逆にラジオのリスナーさんが浅草まで会いに来てくださったりすることもあります。

 ラジオはリスナーさんとの距離がとても近いメディアだと感じています。祖父のように目が不自由な方でも楽しむことができますし、テレビよりも、そっと隣に寄り添ってくれるような温かさがあるんです。

 人力車も一期一会の出会いの連続で、お客様との何気ない会話や、その日、その時間だけの出来事が、一生の思い出として残ることもあります。

10歳の頃、北海道小樽で祖父と人力車に乗った関森さん 本人提供

 実は私自身、10歳の頃に祖父と北海道で人力車に乗った経験が、今でも心に残っています。だからこそ、今度は私がお客様にとって「乗ってよかった」と思える思い出の一部になれたら、とてもうれしいです。