「くだらなさ」の英才教育

「我々のラジオを聞くには確かにある程度の素養はいります。とにかく聴き続けることです。それでどこにも接点が見出せない場合は我々もあきらめます」(「ラジオパラダイス」1987年6月号)と関根も言っているように、“一見さん”では、なかなか入ることが難しい番組なのだ。だが、ひとたび入ってしまえば、その「くだらない」世界から抜け出せなくなってしまう。関根は星野・コサキン鼎談でこう語っている。

「新規のリスナーも欲しいとは思ってたんですけど、 内容が内容なだけに、そんなに多くは開拓できないなと(笑)。ただ、ファンになった人たちを逃さないように、くだらなさのクオリティは維持しようと思ってやってましたね」(『YELLOW MAGAZINE 2016-2017』)

 星野はその放送に強い影響を受けた。初期代表曲のひとつ「くだらないの中に」の「くだらない」もコサキンから来ているし、大ヒット曲「恋」の〈意味なんかないさ 暮らしがあるだけ〉の「意味ない」も「意味ねぇ」から来ていると明かしている(『星野源のオールナイトニッポン』2017年4月18日)。星野にとって「バカ」や「くだらない」は褒め言葉だ。「『君はバカじゃないの』とか言われるのが大好き」(「BRUTUS」2011年7月1日号)だと語っている。また、エッセイの中では、コサキンからの影響をこう綴っている。

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「お二人からはたくさんのことを教わった。

 人を馬鹿にせず自分が馬鹿になること、競争をしたってつまらないということ、(略)カッコつけたりごまかしたりせず、自分に正直に、まっすぐ素直であれということ。

 もちろんそんなことをお二人が言葉にしたわけではなく、ただ、その姿勢から勝手にそう受け取っただけだ。すぐには無理かもしれないけど、いつかそういう人間になりたいと思った」(『いのちの車窓から』)

 それを星野は「『くだらなさ』の英才教育」(『働く男』)と表現している。