『ヤンヤン 夏の想い出』(2000年)や『牯嶺街少年殺人事件』(1991年)で知られる台湾の映画監督、エドワード・ヤン(楊德昌)の“新作”が日本のスクリーンにやってくる――。映画『海辺の一日 4Kレストア』の劇場公開は、思わずそう表現したくなってしまう、奇跡のような出来事だ。

映画『海辺の一日』 © 2010, 2024 Fortune Star Media Limited. All Rights Reserved.

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エドワード・ヤンの“新作”がやってくる

『海辺の一日』は、1983年に製作されたエドワード・ヤンの長編監督デビュー作。筆者自身、さまざまな事情から日本では長らく劇場公開が叶わなかったと伝え聞いてきた一本で、今回の『海辺の一日 4Kレストア』が日本で初めての劇場公開となる。

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 近年、日本では『ヤンヤン 夏の想い出』や『カップルズ』(1996年)、『エドワード・ヤンの恋愛時代』(1994年)が4K版で相次いで上映され、大きな話題を呼んでいる。来年で没後20年を迎える今も、エドワード・ヤンの作品は時代を超えて愛されているのだ。

 そんななか、この映画をあえて“新作”と呼びたくなるのは、日本の観客の多くが初めて出会う作品にして、製作から40年以上を経てなお、驚くほどフレッシュな一本だからだ。

 ヨーロッパで活躍するピアニストの蔚青(ウェイチン)が、13年ぶりに台湾へ帰ってきた。旧知の佳莉(ジャーリィ)は、蔚青に連絡を取り、カフェで再会する。かつて佳莉の兄・佳森(ジャーセン)は、蔚青と恋愛関係にあった。

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 しかし佳森は、医師である厳格な父親には反発できず、望まれる通り、父の知人の娘と結婚した。失恋した蔚青はヨーロッパへ渡ると、ピアニストとして成功したあとも長らく台湾には戻らなかったのである。

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 一方で妹の佳莉は、父が望む結婚を拒み、大学時代に知り合った徳偉(ドゥウェイ)と駆け落ち同然で結婚していた。これを聞いた蔚青は、「コンサートに夫婦で来てほしい」と提案するが、佳莉は断る。今から3年前、徳偉は海辺で姿を消していた——。