話題作を出し続け、海外でも高く評価されている日本が誇る小説家、小川洋子さん。その執筆の原点は、ユダヤ人少女アンネ・フランクとの出会いでした。この度、アンネによる世界的名著の魅力に迫った『小川洋子が読みとく『アンネの日記』 NHK「100分de名著」ブックス編』の文庫化刊行を記念し、小川さんにお話を伺いました。(全5回の5回目)
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――今回書き下ろしていただいた「文庫版のあとがきにかえて」の中で、「感謝」という言葉がとても印象に残っています。その考え方は、小川さんの小説作品を包んでいる精神の核の部分のような気もします。
小説を書き終えた時、まず感じるのは、安堵でも達成感でもありません。感謝です。なぜ自分にこれが書けたのか、不思議な心持ちになります。自分以外の誰かが導いてくれなかったら、ここまではたどり着けなかった。そう思えるのが、喜びです。
(『小川洋子が読みとく『アンネの日記』』本文より)
小川 そうですねぇ。まぁでも、若いときからそうだったわけじゃなくて、いろいろ経験して恥をかいて、批判もされたりして、作家生活で小説を書いていくことによって、人生のことを色々と学んだんですね。
――批判をされることに落ち込んだりしますか?
小川 えーとね、作品を批評されるのは別に落ち込んじゃダメだって自分に言い聞かせているし、人格を否定されたわけじゃないですしね。でもまぁ、息子からは、「自分の名前ではネットで検索するな!」って言われてます……(笑)。
――息子さん、優しいですねーー!!
小川 そうなんです。その言葉を守ってエゴサーチはしないようにしています。
――小川さんのことを、ということではなくて、一般的にXといったSNSなどに書き込まれるネガティブな言葉は本当に「よくここまで書けるな」と思うくらいすごい。
小川 そうそう、だから私はね、ちょっと言葉が通じない別の惑星の話としてとらえています(笑)。
私からはコメントをSNSで全然発信していないし、ユーチューブなんかに出演した動画を公開してもいいですか? と言われたら、いいですよとお伝えするんですけれども、あまり見返したりもしない。何個いいね!が付くとか、閲覧数とか全然気にしていませんし、まぁ、こういったSNSやAIの時代も過渡期で、将来、沢山とんがったところが丸くなって、いい具合に収まっていけばいいけどなぁと思っています。
――世の中の傾向として、SNSの力が加速して増してきている感じがするんですが、SNSで印象的な面白い言葉をバンバン言う人が受けたりとか、そういった言葉の傾向はどのようにご覧になっていますか?

