殺される

(殺される……)

 額に浮かぶ大量の汗、尋常ならぬ目つき、これまでに感じたこともない狂気を目の当たりにして震え上がった。

「携帯を探してこい。逃げるなよ。逃げたらどうなるか分かっとるだろうな」

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 愛梨さんは車外に脱出できたので、携帯を探すフリをして、一瞬の隙を突いて逃走した。

「待てっ!」

 辻橋はすぐに追い掛けて来て、ヘッドロックをかけて押し倒した。

「お前、逃げやがったな。逃げたらどうなるか分かってたんだろうな!」

「嫌や、助けてーッ!」

 辻橋は愛梨さんを組み伏せたまま包丁を取り出し、「ドン」と押すような形で胸に突き刺した。

「何で?」

 パキッという音がして、ドクドクと心臓から血が流れる気配を感じた。痛いという感覚はなく、失禁してしまったため、「人は死ぬ前に失禁する」という話を聞いたことがあることを思い出した。

(私、死ぬんや……)