トランプ大統領の「責任転嫁」
トランプ大統領やヴァンス副大統領がイスラエルのネタニヤフ首相やその他の閣僚を激しく批判していますが、これは、「この敗北は、我々をこの戦争に巻き込んだイスラエルのせいだ」という責任転嫁です。
ニヒリズムに陥り、国家として方向喪失状態にあるイスラエルは、暴力の衝動に突き動かされ、戦争が自己目的化し、常に戦争の準備ができているのは確かですが、そうしたイスラエルを米国はいつでも敵に放つことができる“猛犬”のように利用してきました。つまり、最終的な決断はワシントンが下してきたのです。
そもそも、前線は膠着しつつも、互いの攻撃がエスカレート――ウクライナはロシア領内の石油施設などを攻撃し、ロシア側もキーウなどドンバス地方以外の都市部を攻撃――しているウクライナ戦争の現状を理解しようとしたことが、この2つの戦争を「第三次世界大戦」の2つの「戦線」として捉えるきっかけとなりました。今回の世界大戦は、過去の世界大戦と比較して、死者数は圧倒的に少ないながらも、複数の地域で起きている戦争が、互いに影響し合いながら同時進行しています。
第二次世界大戦で、米国は、「欧州戦線」でドイツと、「太平洋戦線」で日本と同時に戦いましたが、この2つの「戦線」はそれほど深く結びついていませんでした。
形式上、日本とドイツは当時、同盟関係にあり、たとえば、仏ブルターニュ地方の私の別荘近くにあるロリアン港(ナチス・ドイツが巨大な潜水艦基地を建設)には、戦時中に日本の潜水艦が運んだ魚雷が今も保存されていますが、これは“文化交流”の類で、日本とドイツの相互協力はそれほど強いものではなかったのです。
今回の戦争の2つの「戦線」は、これよりはるかに密接に結びついていて、さらに東アジア(ホルムズ海峡封鎖を考慮すれば全世界)にまで影響が及んでいます。
※本記事の全文(約15000字)は、月刊「文藝春秋」8月号と、月刊文藝春秋のウェブメディア「文藝春秋PLUS」に掲載されています(エマニュエル・トッド「日本の米追従は自殺行為だ」)。 全文では、下記の内容をお読みいただけます。
・イランの「離陸(テイクオフ)」の世界史的意味
・「理性的な独裁」と「非合理的なリベラル」
・戦争の継続そのものがウクライナ国家の存在理由に

