米国とイスラエルによる大規模奇襲攻撃で始まったイラン戦争も、緒戦こそ、強大な軍事力を誇る米国とイスラエルが圧倒したが、その後はイランが、「ドローンなどの安価で大量の兵器」と「ホルムズ海峡封鎖」という「非対称戦略」でトランプ大統領を追い詰めて徐々に形勢を逆転させ、イランに圧倒的に有利な「14項目の覚書」の締結に至った。トッド氏はこの戦争をどう見ているのか。

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第三次世界大戦の2つの「戦線」

 現在、起きているのは、「第三次世界大戦」の本格的な拡大です。今回のイラン戦争は、2022年2月24日に始まったウクライナ戦争と一体のものなのです。

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 この2つの戦争は別個の戦争ではなく、「第三次世界大戦」の「南部戦線(イラン戦争)」と「北部戦線(ウクライナ戦争)」という、同じ戦争の2つの「戦線」と捉えるべきだと私は考えます。2022年6月に『第三次世界大戦はもう始まっている』という本を上梓しましたが、今から4年前に概念として用いた「第三次世界大戦」が、より具体的な姿を現わしてきたということです。

エマニュエル・トッド氏 Ⓒ文藝春秋

「北部戦線」では、米国がウクライナ人とヨーロッパ人を使って、ロシアと間接的に対峙しています。「南部戦線」では、米国が同盟国であるイスラエルの助けを得て、イランと直接的に対峙しています。

トランプ大統領  ⒸCNP・時事通信フォト

「米国はイスラエル・ロビーに操られてイラン戦争を始めた」としばしば言われますが、こうしたナラティブに騙されてはいけません。すべてを決めているのは米国なのです。米国は、必要とあれば、イスラエルの意向を無視してイランとの交渉を進めています。