人生を変える「運命の出会い」

 1950年春、古屋が25歳のとき家具製造や電気器具商売への課税が厳しくなり、商売は廃業。これを機会に性格が粗暴になるとともに、当時流行っていたダンスホールで運命の出会いを果たす。塩山のホールに遊びに来ていた近藤ふみえ(仮名。当時18歳)。細面で顔立ちの整った、この工員女性に一目惚れしたのだ。

 古屋はそれまで一度も交際経験がなかったばかりか、女性に親しくされたことさえなかった。が、ふみえは優しく口をきいてくれた。それは彼女の性格ゆえの態度で好意ではなかったが、古屋は舞い上がる。強引に交際を迫ったうえで、彼女の両親に結婚を前提とした交際を申し込んだ。答はノー。「定職がなければ認めるわけにはいかない」というのが言い分だった。

 そこで、古屋は1952年の夏に上京。家具店、ゴム紐の行商、似顔絵書きなどをして金を貯める。が、同年9月に窃盗を働き逮捕。起訴は免れたが、この一件で近藤家は古屋を極端に敬遠し、ふみえも彼を怖がるようになる。

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写真はイメージ ©getty

 それでも古屋の気持ちは変わらず、1953年7月に近藤家を訪ね交際を直談判。両親は門前払いを食らわせ、ふみえの身を案じて埼玉県の姉のもとに避難させる。そこへ、追いかけるように古屋が現れた。

 対応したふみえの義兄は古屋を邪険に扱わず、「ふみえはここにはいない。正業に就けば居場所を教える」と職まで紹介してくれた。仕事は同県朝霞市内の映画館での看板描きやビラ貼り。性に合う仕事で1年は住み込みで真面目に働いた。しかし、それでも義兄はふみえの居場所を教えない。