繊細な音色を奏でるフルート奏者でありながら、今年ポーランドで開かれた世界クラシック&エクイップベンチプレス選⼿権⼤会で金メダルを獲得した上原麻衣さん。
コロナ禍で演奏の仕事が途絶え、収入はゼロ。農業のアルバイトや夜職を掛け持ちしながら、それでもフルートを手放さなかった。そんな苦しい日々の中、ダイエットをきっかけに始めた筋力トレーニングが、新たな人生の扉を開くことになる。
2021年にベンチプレスと出会うと、その才能は開花。音楽とベンチプレス、二つの夢を追い続ける上原さんが語る、「挑戦し続けること」の意味とは。(全3回の3回目/最初から読む)
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ベンチプレスとの出会い
――コロナ禍がターニングポイントだったと思うのですが、その中でベンチプレスとも出会うんですよね?
上原麻衣さん(以下、上原) いわゆる“コロナ太り”になってしまって、体重が10kg増えてしまったんですね。ジムに行くことで、1年間で10kg落としたものの、筋トレが習慣になってしまって。
そんなときに英会話教室……コロナ禍で時間があり余っていたので、いろいろなことをしていたんですけど、その英会話教室の同じクラスにみゆきさんという女性の方がいて、「ベンチプレスをやっている」と教えてくれて。私も筋トレをしていたから話が盛り上がると、「私が通っているジムに来てみない?」って誘われたんですね。それが2021年の9月。
興味本位でやってみたら、「上手いじゃない。続けたら強くなる」とおだてられて、まんまとハマってしまった(笑)。
――一般的なジムではなく、パワーリフティング専門のジムだったんですか?
上原 そうです。看板も出していなくて、オーナーが職場の一角に作ったジムなので、知り合いの伝手がないと通えない……“虎の穴”みたいなパワーリフティングのジム(笑)。
そもそもパワーリフティングって、「スクワット」「デッドリフト」「ベンチプレス」という3種目があります。スクワットは、バーベルを肩(背中上部)に担いだ状態から膝を曲げて腰を深く落とし、再び立ち上がる種目。デッドリフトは、床に置かれたバーベルを腰を伸ばしながら直立する姿勢まで引き上げる種目。ベンチプレスは、ベンチ台に仰向けに寝た状態でバーベルを胸まで下ろし、再び腕を伸ばして上へ押し上げる種目です。大会の試技は、各種目とも3ターン行い、その中で一番重いバーベルを上げた人が勝者になります。
