「年齢を気にするのは、30代前半で置いてきました(笑)」

――30代後半からベンチプレスを始めて、日本一、世界一になる。年齢を理由にあきらめてしまう人も少なくないと思います。

上原 年齢は気にしなかったです。年齢を気にするのは、30代前半で置いてきました(笑)。結婚、出産、いろいろ言われましたけど、35歳のときに会社員を辞めてフリーランスになった時点で、「年齢とかもういいや」って思ったんですよ。社会からはみ出ているんだから、年齢なんか気にしても意味ないよねって。年齢を言い訳にして、「やる」「やらない」を決めるのは、もったいないとも思うんですよね。

©︎細田忠/文藝春秋

――結果、唯一無二のフルート奏者というキャラクターにもつながっているわけで。

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上原 ベンチプレスできちんと結果を残せたら、フルート奏者としても相乗効果があるのでは……とは考えていました。先ほどお話ししたように、音楽家といえども自己プロデュースは大事ですから。

 ありがたいことに音楽のフィールドでもいろいろと活動させてもらっていて、フルートの先生として20人ほどの生徒さんに教えながら、地元の中学校で吹奏楽の指導をするといったこともしています。企業さまのイベントや、結婚式で演奏もしているので、フルート奏者としての演奏依頼も受け付けています(笑)。

 体を鍛えることに目覚めたので、今後はパーソナルトレーナーの資格を取ることも視野に入れ、いずれはトレーニングもフルートも教えられる人になりたいです。

モチベーションを持ち続けるために意識していること

――マッスルでフルートも吹けるって、『ワンピース』に出てきそうなキャラクターですよ(笑)。モチベーションを持ち続けるために、上原さんはどんなことを意識されているのですか?

上原 小さくてもいいから何か目標を持つことだと思います。ベンチプレスにしても、きっかけはダイエットだった。「やせる」という目標だったのに、新しい刺激を受けて、何キロ挙げてみたい、全日本選手権に出てみたい……そうやって目標を作り続けたからこそ、結果的に日本一、世界一になれた。

ポーランド大会で優勝した上原さん 本人提供

 仕事でも勉強でも、やっぱり目標を持たないと、「何のためにやっているんだろう」ってなっちゃうじゃないですか。目的や意味を見出すためにも、小さくても良いから目標はセットした方がいいと思うんですね。

――説得力があります。10年間ずっとフルートと保険業務を天秤にかけていたと仰っていましたけど、裏を返すと、目標が明確ではなかったから悩み続けてしまったとも言えますよね。

上原 本当にその通りだと思います。20代のときに、学生時代のような目標――「県大会で優勝するぞ」「音楽で推薦を勝ち取るぞ」といった目標を設けていたら、もっと違う10年になっていたと思う。その反省が無意識にあったんでしょうね。だから、ベンチプレスを始めるときは、しっかりと目標を立てられたのかもしれない。