昨日の自分を超えるために一生懸命練習しているだけ
――それが今に続く要因にもなったわけですね。ちなみに、遠征費はやはり自費に?
上原 ですね。自治体によって金額が変わるみたいなんですけど、私が住んでいる古河市で言えば、国外で開かれる国際大会の場合は、5万円までサポートしてくれます。ですが、やっぱり足りないので、その分は自分で稼ぐしかないですし、ママのお店のお客さまが「遠征費にして」なんて言ってカンパしてくれたりもします。大会が近づくと、ママが募金箱を作ってくれたり、本当に皆さんのおかげ。ですから、結果を残したい。
よく言われるんですよ。「何のためにやってんの?」って。お金もかかるし、体だってツラいだろうし、何を目指しているのって。私は、完全に自己満足だし、自分がどこまでできるかということを、自分自身が知りたいだけ。もちろん、世界一を目指しているけど、明確な答えなんかないんです。自己満足でもいいじゃないですか。私の周りにいるパワーリフティング仲間も、仕事しながら昨日の自分を超えるために一生懸命練習している。その姿がかっこ良くて。
――根拠なんて後から付いてきます。やり続けていることが、とてもカッコいいと思います。「やれるか?」って言われたら、ほとんどの人ができないことをしているんですから。
上原 子どもの頃から、何かに対して日本一とか世界一というあこがれがありました。フルートで世界一になりたいとか、コンクールで日本一になりたいとか。ある程度のレベルまではいけたと思うんですけど、やっぱり音楽の世界でそこを目指すのは難しいんじゃないかと気が付いた。そんな中で、ベンチプレスと出会って、「もしかしたら」という思いがあったんですね。
競技を始めて3年後の2024年に、ようやく全日本選手権でマスターズ1・57kg級の1位になることができ、その年に初めてアメリカで行われた世界大会に行きました。26年に開催された今回のポーランド大会では念願の金メダルを取ることができて、あきらめなくて良かったなって。
――フルートではなく、まさかベンチプレスでヨーロッパに行って、金メダルを取るとは……。
上原 思いませんよね。ベンチプレスでショパンの故郷に行くなんて夢にも思わなかった(笑)。
