前章でも、ステージⅣの非小細胞肺がんの患者さんの長期生存率が上がっている例を示したが、他のがん種でも同様のことを経験する。他臓器に転移をきたした膵臓がんや乳がん、前立腺がん、腎臓がん、胃がん、大腸がん、甲状腺がんの患者さんなど。中には半年程度と余命宣告された方も含まれている。抗がん剤の担当医から、抗がん剤が非常によく効いていると喜ばれることも珍しくなく、今までで一番よく効いたと言われるようなケースもある。

 体内環境を整えるとは、土台を盤石なものにするということである。前掲の【図表3–1】をもう一度確認してほしい。土台作りの基礎となる栄養・代謝(カロリー、糖代謝、pH)、炎症、免疫、自律神経(睡眠、ストレス、身体活動)、エントロピー(腸内環境、環境毒素)を整えることにより、本来の健康な状態である「がんの代謝的性質に反する状態」「十分な免疫機能」を構築するのである。

悪い状態とはどういうものか

 では逆に、体内環境が乱れた「悪い状態」とはどのような状態であろうか。端的にいえば、体内での炎症が過度に高まり、かつ、免疫機能が落ち込んでしまった状態で、同時に低栄養も認められる。がんの勢いが増している状態では通常このような反応がみられる。がんは炎症を広げながら活動し、活発になるほど炎症反応は亢進し、対抗すべき免疫が負けてしまっている状態である。栄養はがんにより消費され、消耗的に低栄養状態となる。

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 実際、がんで亡くなる直前のデータは、炎症反応の上昇と免疫の低下、低栄養が際立ったものとなる。あたかも感染症による炎症上昇のようにもみえるので、感染症治療のための抗生剤を投与されるケースもあるが大抵うまくいかない。このような状態になると改善はかなり難しいと言えるが、少しでも炎症を低減させ、免疫を改善することができるかが分かれ道である。がんが形成する腫瘍微小環境に少しでも対抗できるか否か。抗炎症、腫瘍の酸性環境の中和が少しでもできるような栄養改善、免疫を少しでも働かせるための自律神経改善や体内環境の改善がポイントである。このような状態で栄養改善を目指して食べられるものを闇雲に食べてもうまくいかない。

 体内環境を良くするということは、想定される亡くなる直前のデータからなるべく遠ざけるということでもある。それには、定期的に自分の体の状態をモニタリングしておくことが大切である。自覚する体調だけでなく、血液検査、尿検査で体の状態を把握するのである。検査には基準値があり、この範囲内にあれば異常なしと言われるが、それだけでは足りない。基準値の中でも理想値がある。

最初から記事を読む 「余命数ヶ月の進行がんが10年も元気に…」ステージIVの肺がん患者の生存率が激変!? 専門医が明かした“がんに勝つ人、負ける人”の決定的な違いとは