「やる気」を上げてくれるレシピがほしい
――料理にほしいのは「高揚感」だと。
長谷川 へとへとでしんどくても、レシピに「作りたい」と思わせてもらえたら、私は作るのにと思ってたんです。“やる気がなくても作れる料理”とかじゃなくて、そもそもレシピのほうから、私のやる気を上げてくれよ!! って(笑)。
――作りたくない人に、作りたいと思わせるレシピがほしい。長谷川さんの最初のレシピ本との出会いがそうでしたね。
長谷川 やっぱり、高校生の時にいろんな雑誌の料理やレストラン特集を見ているなかで、「こんな料理を作ってみたい」と、気持ちを底上げしてもらっていた原体験があるのは大きいですね。
結局、ネットでバズりやすいのは“やる気がない状態でも作らねばならない人向けのレシピ”が多く、その方がやはり需要はあります。作っても作らなくても、とりあえず今日の食事がまかなえればいいや、という人向けのレシピってそんなにない。
自分の感情を抜きに作らねばならなくて悩んでる人にとって、“第三者が喜ぶ”というメッセージングはすごく響く。だからそうした発信はとても大事だと思うんですけど、作る選択肢を捨てられる状況の人に、「夫が喜ぶ」と言われても、あんまり刺さらないですよね。
――作らなくてもいいなら、作らない。
長谷川 そりゃそうだよなと(笑)。
一方で、SNSをあまり活用していなかったり、ネットではなく雑誌や書籍を中心に活動されていたりする料理家の先生方の中には、“作っていて気持ちが上がるのに、手間はそこまでかからない”レシピがたくさんあるんです。ただ、そうしたレシピは今の時代、なかなか広く届かない。逆にいえば、本当はそういうレシピへの需要はあるのに、情報の海に流されて、必要な人に届いていない。
だったら、自分がレシピを発信しようと思いました。「これなら作ってみたい」と思えるコンセプト、自分のためのレシピを、自ら作って届ける。そのほうが早いな、と。あとは単純に、大学で習う栄養学が思ったよりもキャッチーじゃなかったので。
