2023年秋、法規制の網の目を潜り抜ける“半合成カンナビノイド”市場は「つくってもつくっても足りない」ほどの空前のブームに沸き返っていた。だが、違法成分の取り締まり強化によって事態は変わっていく。各所で報道された「大麻グミ事件」を記憶している人も多いだろう。当時、業界トップに君臨していた男は突如逮捕され、計3度の勾留を経験した。
「グレーだから進んだ」「自分は騙されていた」――騒動の張本人・松本大輔が明かす、第2次脱法ドラッグ・ブーム崩壊の背景とは。磯部涼氏による『脱法』(大洋図書)の一部を抜粋して紹介する。
◆◆◆
行政による規制と、新成分を使った商品開発のイタチごっこ
松本大輔は、新商品=大麻グミで一気に半合成カンナビノイド業界のトップに躍り出た。
「グミは最初につくったものが即完になって。当時、マンションの1室を借りて製造していたんですが、つくってもつくっても足りない。2部屋借りたけどまだ足りない。工場を構えて生産力を4倍か5倍にしても完売が続く。卸先もどんどん増えて、70社くらいになりました。『いくらでも売れるから、いくらでも買わせてくれ』という問い合わせがずっと続いていたんですよ。それで、これだけ売れるんだったら自分たちの店を構えようと」
そして実店舗〈CANNABIS CULTURE JAPAN〉を、自身の大麻体験のルーツのひとつである大阪・アメリカ村に開店する。
「それも予想以上に話題を呼んで、お客さんが中に入りきらず、店の前に行列が出来るくらいにまでなりました」
一方、市場では行政による、ブームを牽制する人気成分の規制と、それを掻い潜ろうとする業者による新成分を使った商品開発というイタチごっこが続いていた。
「HHCが規制されてからは、THCO、HHCO(共に23年3月に規制)、THCH(23年8月に規制)、HHCH……というように成分を切り替えていきました。この辺りが日本の半合成カンナビノイド市場の全盛期ですね」
その輝かしい時代――と言っても、たった数年前のことなのだが――の裏側を、松本は以下のように振り返る。
