イングンの死

 イングンは2016年に韓国の介護施設で亡くなった。死ぬまで、自分の罪については一切認めていない。これが兄弟福祉院事件のあらましである。

 長い間、兄弟福祉院事件は人々に知られることがなかったが、2012年に被害者の一人が国会議事堂の前でデモを行ったことをきっかけに公的調査を求める運動が広がっていく。真実和解委員会によって調査結果が発表されたのは、その10年後の2022年である。

正式な謝罪と賠償は行われていない

 調査によって国家の責任が明らかになったが、被害者への国家としての正式な謝罪と賠償はいまだに行われていない。

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 兄弟福祉院事件では、強大な政治権力と暴力的な施設が結びつき、悲惨な人権侵害が行われた。人権の軽視はけっして許されることではない。このような事件が繰り返されないために、我々は何をすればいいのか考える必要がある。

 番組のクライマックスは、イングンの息子であるパク・チョングァンの出演と証言、そして被害者がオーストラリアへ渡ってイングンの家族たちに謝罪を求める場面である。どのような展開と結末を迎えるのか、ドラマ『ガス人間』を楽しんだ人は、ぜひその目で確かめてほしい。


※1 ‘Big Brother’ at Brothers Home: Exclusion and Exploitation of Social Outcasts in South Korea/The Asia-Pacific Journal: Japan Focus 2023.6.15

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