演出(監督)はそれまでいくつものドラマを手がけ、のちに『荒神』(2018年)や『路~台湾エクスプレス~』(2020年)などの話題作を演出した松浦善之助。主役の酒巻少尉役には青木崇高、甲標的部隊のリーダー格・岩佐直治大尉役に平岳大、酒巻の同期生・広尾彰少尉に須田邦裕、酒巻と一緒に甲標的に乗る「艇附」の稲垣清二等兵曹に橋本一郎、甲標的の訓練を行った愛媛県三机村(現・伊方町)で宿舎となった岩宮旅館の次女でヒロインの岩宮緑に蓮佛美沙子、山本五十六連合艦隊司令長官に永島敏行、捕虜収容所の最上級者の機関中佐に苅谷俊介……といった豪華キャストである。

主な出演者(写真:NHK公式サイトより)

 甲標的の操縦室は、俳優の身長を考慮して実物を1.2倍に拡大したセットをつくり、三机での訓練シーンは小豆島でロケをし、捕虜収容所はスタジオでもCGでもなく、愛知県内に広大で本格的なオープンセットをこのドラマだけのために建設した。

 私は旧知のNHK考証担当・大森洋平氏からの依頼と紹介を受け、このドラマの「海軍考証」として制作を手伝い、ロケにも同行した。もちろんドラマであるから、資料にないところや登場人物のセリフなどは創作が入っているが、相当綿密に取材を重ねた上で制作された。歴史の闇に葬られ、ほとんど描かれることもなかった米軍による日本人捕虜虐待にまで踏み込んでいるのだ。

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 もちろん、証拠を摑んだ上での演出である。主演・青木崇高(偶然だが私と同じ高校の後輩である)をはじめとする俳優陣の熱演、美しいカメラワークもあいまってとても見ごたえのあるドラマだった。なにより、ファクトを積み重ね、政治的なイデオロギー抜きのニュートラルな視点で描かれていることに好感がもてた。