EV開発中止を発表したホンダは、2026年3月期の決算は巨額の赤字に転落した。EV開発を主導した三部敏宏社長は経営トップを続投しているが、責任を問う声も少なくない。実はホンダ社内では、三部社長の続投に異を唱える動きが起きていた。文藝春秋2026年7月号の井上久男氏のレポートから、一部紹介します。
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続投に異を唱えた女性取締役
ホンダ社内で三部社長の続投に強く異を唱えていたのが、鈴木麻子取締役である。
1987年入社の鈴木氏は、財務部長や中国本部地域事業企画室長、日本本部営業企画部長、日本本部商品ブランド部長を歴任するなど、営業や財務部門での経験が豊富だ。2016年に生え抜きとして初の女性役員に抜擢された。「彼女は、雨宮氏の薫陶を受けた最後の現役世代」(同前)だという。
次第に鈴木氏を中心に、三部氏のEV戦略失敗の責任を問う声が大きくなっていった。関係者によれば、社外取締役の中には「もっと詳しく説明されていれば、EVへの大きな投資は止めていた」と責任逃れのような発言をする者もいたという。社外取締役の間で「辞任やむなし」とする者が増えていった。ホンダの取締役会メンバーは社内6人、社外6人の計12人だが、そのうち4、5人は“反三部”に回ったとされる。
ホンダは2021年からコーポレートガバナンス強化のために、指名委員会等設置会社に移行し、指名委員会の議論で次期社長人事を決める体制になった。
前述したように、指名委員会の構成メンバーは社外取締役4名と三部社長の5人。委員長の國分文也氏は丸紅で社長・会長を務め、現在は同社名誉顧問だ。他の3人は、元広島高検検事長で弁護士の酒井邦彦氏、りそな銀行で社長・会長を務めた東和浩氏、そして、IBM出身で現在はIDホールディングス専務執行役員の我妻三佳氏である。
赤字転落予想を発表した3月12日と、4月21日に指名委員会が開催された。三部氏の続投についても議論が行われた。
前出のC氏(ホンダ関係者)によると、次のように議決が進んだという。

