ホリーニョ 人間の手が紫だったり、空が青以外の変な色になり、服も「そんなわけないやん」って色になっていたり。なので「AIカラー化」と言いつつ、AIによるカラー化はあくまで下書きで、正しいと思われる色を書籍などで調べながら、iPadとペンタブで塗っていく作業をしていました。もはや絵を描くような感覚ですよね。
コロナ禍に入ってからはそれまでより時間が取れたので、1枚仕上げるのに2~3時間くらいかけてました。『カラー化写真で見る沖縄』に掲載されているのは、すべてこの手順で作ったカラー化写真ですね。AIの技術力が年々上がっているのは肌で感じていて、去年の夏以降ぐらいからSNSに投稿している写真は、生成AIでカラー化したものになっています。
――生成AIの導入でカラー化のやり方はどう変わりましたか?
ホリーニョ 時間はかからなくなりましたね。一度全体に着色した後、資料を調べて「この看板、赤じゃなくて実際は青やん」となった時、今まではペンタブを使って手作業で塗り直してました。でも生成AIを使うと「看板だけ青にしてください」と言えば一瞬で変えてくれる。全体的な精度も上がってますし、とても便利になりました。
生成AIを使うと着色の意図を質問できるのもいいですね。「どうしてこの色で塗ったんですか」とAIに聞いたら「こういう背景があって、こう考えて塗りました」と理由を教えてくれる。それで納得できることもあるし、ちょっと説明がおかしいなと思ったら、さらに根拠を聞いてみるんです。すると納得のいくウェブ記事や論文を出してくれることもあるし、「ごめんなさい、具体的な根拠はありません」と言われることもある。
歴史的考証に基づいた着色作業をするという目的は今までと変わりません。でも、AIと対話しながら理由や意図を壁打ちすることで、より深くまで考えて取り組めている実感がありますね。
目的をはっきりさせないと、生成AIは“映え”を狙ってくる
――なるほど。作業は楽になったけど、その色で着色するかどうか、最終的にホリーニョさん自身が考えたり判断したりする必要があるのは変わらないんですね。
ホリーニョ そうなんですよね。生成AIを使っても、結局「これでいい」って判断するのは人間なので。作り手の知識量や類推する力がカラー化写真のクオリティーに影響すると思います。
それに目的をはっきりさせないまま、ただ「白黒写真をカラー化してください」ってお願いするだけだと、生成AIって勝手に派手な色をつけて“映え”を狙ってくるんですよ。酷いときは写真自体を改造することもあります。元の写真と見比べると、もともとなかった山ができていたり、建物が増えたり、人が増えたり(笑)。見栄えをよくしてインプレッションを稼ごうとするんですよね。
それはやっぱり生成AIが、利用者を増やすことを目的とした商業的なサービスだからなんです。AIにとっては僕らはお客さんで消費者。シンプルに言うと売れるものを作ってるわけですよね。実際、AIに「制約がなければ、映えさせてインプレッションを稼ぐ方向に行ったほうが生き残れるじゃないですか、ホリーニョさん」って言われましたもん。怖いですよね(笑)。そのことを踏まえて付き合い方を考えないといけないですよね。






