孫正義がオフィシャルに発表した声明

「私の60歳の誕生日にソフトバンクグループの経営を〔彼に〕引き継いでもらおうと考えていましたが、そのいっぽうで、私はまだやり残した仕事があると感じていました。ソフトバンク2.0の構想をより強固にし、スプリント・コーポレーションを真に甦らせ、またその他いくつかのクレイジーな構想も実現したいと考えているからです。これに取り組むには、少なくともあと5年から10年は代表取締役社長として当社を率いていく必要がありますが、この間ずっとニケシュを当社のトップになるまで待たせてしまう期間になってしまってはいけないと考えました」

©文藝春秋

 本当にそれだけだったのだろうか? しっくりきていたこの「縁組」が、あまりにも唐突に終わりを迎えてしまった。人種的な要因もあったのだろうか? 孫にかぎってそれはないはずだが、有色人種であれば、常にその可能性は考えてしまう。それがときに言い訳になってしまうのだが。ニケシュと私にとって欧米社会への同化は生やさしいことではなかったが、私たちはどちらも人種が足かせになったとは思っていなかった。むしろ、インド系移民の分析的で勤勉なイメージのおかげで、得をしてきた可能性さえある。日本はそんなに違うのだろうか?

 この国の文化の多くを私は愛している。だから、そんなことは信じたくなかった。

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「君は残りたいなら残ればいい。孫は君を気に入っている」。オフィスに戻る途中、ニケシュが言った。

「彼に訊かれたから、君が自分で決めるだろうって言っておいたよ」

 オフィスに戻ると、机にスキさんからの黄色いポストイットが貼られていた。孫が私と会いたがっているという。