公開当時は不評どころか完全否定
――監督の初長編『ザ・ゴールドディガーズ』は、1983年に公開された当時はかなり不評を買ったそうですね。
サリー・ポッター 不評どころか完全に否定されたんです。私自身は、みんなきっと楽しんでくれるだろうとわくわくしていたんですが(笑)。
初めての長編映画を作るうえで、私は大きな野心を持っていました。いろんなアイディアを一本の映画に入れてみようと、ミュージカルの要素や、政治的イデオロギーへの言及、社会や経済についての考えなど、思いつくことすべてを詰め込んでいったんです。
出来上がった映画には自信があったし、少なくとも、ここで私がやりたかったことは観客にも十分伝わるだろうと期待していました。ところがいざ公開してみると、起こったのは真逆の事態で、批評家の多くは、「いったいこれは何なんだ?」と困惑し「こんなわけのわからないものを作って、お前は映画を殺すつもりか!?」と激怒しました。あまりに攻撃的な反応に、自分の映画人生はこれで終わってしまったのかと怯え、しばらくは何も考えられなくなってしまいました。
でも後々考えてみると、そうした反応は実は最高の賛辞だったといえます。つまり、私は一作目にして映画界に強烈な手榴弾を投げ込み爆発させてみたわけです。だからこそあれだけ激しい反応を受けたのでしょう。そう思えば、自分がしたことには自信を持っていいんだと、今はそう考えるようになりました。
当時、『ザ・ゴールドディガーズ』を徹底的に批判したのはみなメインストリームで活躍する男性の批評家たちでした。一方で、少部数の映画雑誌など、マイナーなメディアで活躍する批評家たちには女性が多く、この映画を愛してくれる人たちが大勢いました。彼女たちの声は全体からすれば小さなものでしたが、その声が長く続いていったことで、いつしかカルト映画のような地位を獲得することになったのです。
