痛い記憶として残ったもの

――今回この映画を初めて見て、「サリー・ポッター監督がこんな映画を作っていたのか」と驚いたのですが、新しい扉を開き未知の場所へ飛び込んでいく挑戦的な姿勢は、初長編からその後の監督作まで一貫しているとも言えます。監督自身は、その後のキャリアを通して自分の作風は大きく変化したと感じていらっしゃいますか? それとも1作目から一貫していると感じていますか?

サリー・ポッター 自分では成長していると信じたいですけどね(笑)。新しい作品に取り掛かるときは毎回、今度こそ新しいことに挑戦してみようと思うし、出来上がってしばらくは「今までとはまったく違う新しい映画ができた」と満足するんですが、それから数年経ってその映画を見直してみると、「ああ、私はまた同じようなテーマを繰り返しているな」と気付かされる。映画を作るとはその繰り返しです。でも結果として毎回同じようなテーマに回帰しているとしても、挑戦そのものの意味は失われません。新しいドアを押し開け、まだ歩いたことのない道に踏み出す、それが自分にとって何より重要なことです。

映画『ザ・ゴールドディガーズ』

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『ザ・ゴールドディガーズ』の経験で私が学んだのは、自分が意図したことと観客が映画の中に何を見るかは、必ずしも一致しないんだということ。映画の完成後、いろんな場所で上映を行い観客とのQ&Aを経験しましたが、痛い記憶として残ったのは、何が起きているのかまったくわからず、まるで自分が拒絶されているように感じてしまった、という観客の声を耳にしたことです。一部の人はこの映画をよく理解し、深く愛してくれましたが、同時に、映画のもつ複雑さが多くの人を遠ざけてしまったことに気付かされたんです。