「患者は母なのに?」依存症専門医が父と娘の入院を勧めた理由
――その後、お母さんの依存症にどのように向き合われたのですか。
おおたわ 依存症の患者を診てくれる病院がないか、死に物狂いで探し始めました。そんななか、当時パーソナリティを務めていたラジオ番組で依存症について取り上げる機会があり、薬物依存者の回復施設「DARC(ダルク)」を取材させていただくことができました。
母にダルクの存在を教えたかったのですが、母は自分を依存症だと思っていないので、「ダルクのような自助グループに参加してみたら?」と真っ向から言っても怒るだけで……。
それでも諦めきれず、ひたすらネットで検索を続けていると、薬物依存症の当事者の方のブログに行き着きました。そこに書かれてある「竹村先生」という名前を頼りに調べていき、都内に依存症専門の外来があることを突き止めたんです。
――さっそく病院に行ってみたのですか。
おおたわ すぐに電話をして、私1人ではありますが受診しました。当時は藁にも縋るような思いだったので、迷いはありませんでしたね。
今は閉院していますが、表参道にある「外苑神経科」の竹村道夫院長は依存症の世界ではかなり有名な先生だったようです。先生から「お父さんとあなた、2人で入院しなさい」と言われ、父も私も医者の仕事を整理して入院することにしました。
――お母さんではなく、おおたわさんとお父さんが入院を勧められたのですか。
おおたわ 私も「患者は母なのに?」と思いましたが、先生いわく、依存症患者の家族は多くが病的な状態になってしまっていて、まずは家族が患者本人から離れて治療を受ける必要があると言うんです。
言われてみれば、当時は四六時中、母の問題で頭がいっぱいで自分の生活どころではない日々が続いていました。悪い想像ばかりが頭をよぎって、夫に聞こえないように毎晩ベランダで泣いていたんです。
そんな風に毎日苦しい状況でしたから、先生の言うことを信じて、父と2人で入院することを決めました。
撮影=鈴木七絵/文藝春秋
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