巨額の借金を抱え、無許可の着ぐるみで鉄塔に籠城するなど、奇行で注目を集めた「風船おじさん」こと鈴木嘉和氏。

 前編では、事業の失敗による5億円の負債を一発逆転するため、彼が「風船での太平洋横断」という無謀な計画へ傾倒していく姿を追った。

 そして1992年、周囲を欺き自作の風船船でついに空へ飛び立った彼は、海上保安庁の捜索機に向かって手を振ったのを最後に消息を絶ってしまう。

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 今なお語り継がれる奇妙なその後とは――。前代未聞の失踪劇を、鉄人社の新刊『知ったら最後、夜眠れなくなる 世界の未解決ミステリー68』より一部抜粋してお届けする。(全2回の2回目)

写真はイメージ ©getty

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「太平洋は横断できると確信した」

 1992年4月17日、運輸省(現・国土交通省)に無許可で、東京都府中市の多摩川河川敷からヘリウム風船26個付きのゴンドラでテスト飛行を実施。

 数百メートルの上昇を予定していたが、重りの砂袋を誤って地上に落としたことで高度5千メートル超に達し、風船破裂により急降下。出発地点から約24キロ離れた大田区の民家に墜落する。

 左手に軽傷を負った鈴木氏はマスコミに対して「高度5千600メートルに達したとき、太平洋は横断できると確信した」と語る一方、被害を出した民家には謝罪も弁償も行わなかった。

 7ヶ月後の同年11月23日、今度は滋賀県の琵琶湖畔で自作の「ファンタジー号」の飛行を実施する。