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「これで一件落着か」と思いきや…
まず今井は、ベッドで寝ていた403号室の丑沢さんを無理やり起こし、戸惑う丑沢さんをベランダまで誘導すると、抱き上げて投げ落とした。そして丑沢さんの死亡後に同じ403号室に入居した仲川さんも、丑沢さんと同じく自室のベランダから転落死させた。
だが、最後に亡くなった6階609号室の浅見さんは、なぜか403号室の真上に位置する601号室のベランダから転落死させた。
そこで疑問が残る。なぜ今井は浅見さんを609号室から601号室へと移動させて投げ落としたのか――。
今井が犯行を認めた入所者3人は、施設裏庭のほぼ同じ位置で倒れていた。この裏庭の転落地点は周囲を住宅や植木で囲まれた「死角」のため、人目につかない場所を選んだ。これなら現場の状況と一致する。しかも、2件目の仲川さんを除き、いずれも今井が第一発見者だ――捜査関係者は今井の供述と状況証拠からその理屈を語った。
これで一件落着――そう警察や私が安堵したのも束の間、事件は前提が根底から揺らぐ事態となったのである。