本決済の日

 いよいよ迎えた本決済日。

 カトウは前日の夕方、手配師の浅川に「明日、長谷川に午前9時新宿西口集合で」と伝えていた。当日は約束の時間に新宿駅西口ロータリーに来ていた岡田の車に、カトウは長谷川と共に乗り込んだ。

 向かう先は「京王プラザホテル」前の「議事堂通り」。積水ハウス東京マンション事業部に行く際のお決まりの待機場所だ。長谷川は「海喜館には住んではおらずマンションやホテルを転々としている」設定で、この時は京王プラザに宿泊していることにしていたからである。

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 長谷川は積水ハウス側との打ち合わせ時間に遅れる体とすることになっていた。土井やカミンスカスがこんな警戒をしていたからだ。

「本決済と称して小山(カミンスカス)さんと長谷川を会社に招き入れた所に、警察がバッと出てきて一気に吸い込まれる(逮捕される)可能性もあり得ると」(カトウ)

 そのためカミンスカスが先に積水ハウスのホウライビルに入り、社内の様子に異変はないか、会議室の隣に誰かいないかなど隅々まで確認した上で、「地主を出せ」と指示を出すことにしていたのである。これ以降の動きは、カトウの証言をもとに克明に記す。

 社内が問題ないと感じたカミンスカスは、カトウに「地主、出して」と連絡を入れた。車からは長谷川だけが降りた。長谷川には「京王プラザの裏口から入り、中を通って正面玄関から出てホウライビルに向かうように」と指示した。

 長谷川が車から出ようとしたその時、土井からの「待った!」がかかる。