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「書類がひとつ足りないから急いで持ってきて」
カトウにはその書類が何かわからなかったが、ほぼ同時に土井から連絡を受けた岡田が書類の束から指定の紙を取り出し、カトウに渡した。土井とカミンスカス、両者から直接電話があることからも相当に焦っている様子が伝わってきた。
その書類をカミンスカスに渡すべく、カトウは岡田の車を降り、道で拾ったタクシーで積水ハウスのホウライビルの前へ。そして路上でカミンスカスに書類を手渡した。
最後までドタバタの犯行劇だった。
受け取った2億円の紙袋
元々の予定では、本決済がなされたらカトウも品川の某銀行へ行くはずであったが、カミンスカスからの急ぎの用事を済ませたこともあり、岡田とは別の運転手の車に拾ってもらい、土井の事務所に向かった。
その間におそらく運転手の岡田と長谷川で換金したのだろう。カトウが事務所に着くと、すでに岡田は戻っていた。土井の部屋の床には、仮決済時の12億円にこの日に出金した金が加わり、いくつもの紙袋に入れられた金が無造作に置かれていた。
土井は床に置かれた紙袋ふたつを机の上に置き、カトウにこう言った。
「ほい、お疲れ!」
カトウが2億円を受け取ると、カミンスカスが積水ハウスとの打ち合わせから戻ってきた。カミンスカスもその場でいくつかの紙の手提げ袋を受け取ったようだ。
今日の大仕事は終わった。いつまでも事務所にいても仕方がない。
「おつかれさまっした!」
そう言ってカトウは事務所を後にした。ほぼ同時に紙袋をいくつか手にしたカミンスカスも外に出た。そこにはカミンスカスの恋人のひとりと言われていた外国人女性が運転する車が待ち構えていた。
