地中に埋められ、蓋をされたかつての川を「暗渠(あんきょ)」と呼ぶ。
ドクダミが茂る路地、裏向きの家並み……街中に無数に潜む「川の証拠」を見抜くコツがある。これを知れば、いつもの散歩道が一気に冒険のルートに変わる。
書籍『47都道府県・暗渠百科』(丸善出版)より、暗渠を見分ける“簡単なサイン”を紹介する。(全4本の1本目)
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暗渠をたどり歩いていると、「さっきもこんな店あったな」「以前も同じようなものを見たような気がする」といった既視感を覚えることも多い。そう、けっこうな確率で「暗渠でよく出会う」物件というものがあるのだ。それらは暗渠を探して歩く時の大きなヒントにもなり、道端でそれらに出会うごとに、そこが暗渠であるという仮説をより強いものにしてくれる。そんな、暗渠に強い関わりをもった物件を「暗渠サイン」と呼ぼう。
暗渠サインもものによって確度(信頼度)にはばらつきがあり、これがあったら理論上そこに川があったに違いない、という確かなものから、他の場所でもみられるけど川や暗渠脇にもよくあるかも、というふわっとしたものまでさまざまだ。そんな確度順に、代表的な暗渠サインを挙げてみよう。
「ほぼ確実サイン」
どれも水面があった時代から川や水路と直接関係があったものであり、それらが今も残っているならそこはほぼ暗渠と考えて間違いなかろうというもの。暗渠サインの中でも最強クラスで、これらに出会えたら声を上げて喜びたいほどのスーパープレミアム物件たちだ。
橋跡
確度が高く、また、気づかないだけでけっこう多くのまちに残っているという、ザ・キング・オブ・キング的な物件が橋跡だ。
特別な存在なので筆者はこれを「暗橋(あんきょう・暗渠にかかる橋)」と呼んでいる(参照:『「暗橋」で楽しむ東京さんぽ 暗渠にかかる橋から見る街』実業之日本社、2023年)。街角にぽつんと残っている橋跡があれば、それはそこが川だった動かぬ証拠なのだ。
説明板などが設置されていれば見つけやすいが、単に親柱や橋名板など橋の一部だけが何の説明もなく道端にぽつんと残されていることもあるので細心の注意が必要である。なかには、植込みの中に埋もれていたり、ゴミ集積所のネット掛けに利用されていたりとすっかりまちに馴染んでいるものも多いので見逃さぬよう。また、交差点名やバス停などに○○橋とその名前だけが残っている、いわゆる「エア暗橋」という状態の橋跡もあるが、これも立派な暗渠サインである。
